発声コンディショニング・サイクル
前回、発声コンディショニングについて解説しました。
では、発声業界でどのように活用するかということで、発声コンディショニング・サイクルについてお話ししたいと思います。
スポーツ選手が良いパフォーマンスを発揮するためのサポート体制として、コンディショニングというものがあります。声も筋肉を使うという点でコンディショニングを適用することができます。
プロ野球選手のコンディショニング
まず、イメージの湧きやすそうなプロ野球選手を例に、コンディショニング・サイクルを見ます。
- 基準、スタート地点
- 「立つことができる」をサイクルの基準とします。
- トレーナー分野 プロになるまで
- 身体的成長、筋力増強など、体づくりを行い、プロとして活躍できる土台を作ります。
担当はジムのトレーナーやパーソナルトレーナーなど。 - コーチ分野 プロとして結果を出す
- 野球の技術的訓練を経て、理想のプレイスタイルを実現させ、高い成績を残せるようにします。
担当は元現役の選手など。 - トレーナー分野 試合後の体のケア
- プロの選手であっても、試合後は疲労の蓄積により、運動能力が普通の人と同じ程度にまで落ちます。ドクター領域に落ちる(故障する)ことのないよう、ケアを行うことで、またコーチ領域のパフォーマンスを発揮できるように整えます。
担当は柔道整復師など。 - ドクター分野 試合時のアクシデント
- 死球を受けるなど故障をしてしまった場合、ドクターによる適切な処置(診断や手術)が行われます。
その後、リハビリを経て、基準となる立つことが可能な状態にまで回復をさせます。担当は医者、理学療法士など。
以上のように、プロ野球選手として長く活躍する場合、コンディショニング・サイクルに合わせた状態維持管理を行っていきます。
発声コンディショニング・サイクル
プロ野球選手の過程を参考に、声のプレイヤーの場合を見ていきます。
- 基準、スタート地点
- 声が出せる状態をサイクルの基準とします。
- トレーナー分野 プロになるまで
- プロのパフォーマンスを発揮するための声の訓練を行います。
高い声/大きな声/通音程が取れる/滑舌が悪くない/嗄れない/様々な役柄の声が出せる などです。
ポイントは、歌であれ演技であれ会話であれ、トレーナー分野で行う訓練は全く同じです。
担当はボイストレーナー。 - コーチ分野 プロとして結果を出す
- 声づくりが完了したら、理想とする表現をさらに磨いていき、高い芸術力やクライアントに求められる表現力を身に付け、発揮します。
担当は現役プレイヤーや制作責任者など。 - トレーナー分野 疲れた声帯のケア
- 声は筋肉運動なので、ずっと使い続けると、運動時と同様、疲労が蓄積します。
疾患にならないように、かつ次の仕事でいつも通りの表現ができるようケアを行います。 - ドクター分野 疾患になった場合
- 結節(声帯のマメ)やポリープ(声帯の内出血)により、手術が必要になる場合、ドクターによる診断と手術が行われます。その後、リハビリを経て、基準となる声を出すのが可能な状態にまで回復させます。
担当はボイスクリニックの先生など。
以上が、声の分野の方が積極的に採用していきたい、発声コンディショニングのサイクルになります。
信頼のおけるコーや、トレーナー、そして何か異変を感じたときに相談できるドクターを見つけておくことが、今このとき、そしてこれからの声の仕事に携わるうえで大事な備えだと考えています。
こちらの動画で詳しく解説しています。
今の自分の声の状態を知りつつ、弱点克服から調整までできるボイストレーニングとして、発声診断書®︎のレッスンがあります。
発声診断書®︎で行うのは次の内容です。
- 発声理論をもう少し詳しく解説
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ライトコース/スタンダードコース/スペシャルコースの3つのコースからお選びいただけます。
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