喉頭の構造
声の仕事をするうえで、最もお世話になっている部分といえば、そう、声帯ですよね。
声の養成機関に通った経験のある人は、もちろん声帯という言葉は聞いたことがあるでしょう。
しかし、具体的にどの辺にあって、どんな形をしていて、声が出ているときどうなっているかまでは知らない人もいらっしゃるかもしれません。
声は、声帯やその周りにある筋肉の運動で出ます。筋肉を動きや振動などによって、どんな声になるのかが決まります。
声帯やその周りの構造や機能を知るということは、ギターなどの楽器の構造を知るということ。もしも構造や役割を知っていると、出てくる音に対する理解が深まります。
声帯のある場所を喉頭と言いますが、今回は喉頭近辺の構造を簡単にご紹介したいと思います。
- 声に関する理解が深まる
- 的確な訓練を自分で考え、実行できる
- 喉・声のケアを効果的に行える
喉頭の位置
喉頭は、喉仏を含む軟骨および筋肉の部位のことで、気管の出口付近にあります。
声帯は、喉頭の中にある筋肉の1つになります。
図1の青い丸で囲まれた部分が喉頭の位置です。
喉頭の1番上は、気管と食道の分かれ目です。食べ物が通る際、空気の通り道である気管に入らないように交通整理をする役割を担っています。
喉頭よりもさらに口の方に向かうと咽頭(いんとう)があります。咽頭は、気管と食道の入り口あたりから鼻のあたりまでの範囲になります。
反対に、喉頭の1番下は、図2の青い矢印の先っぽあたり、三角形の骨の部分(輪状軟骨)になります。
喉頭にある軟骨
喉頭は6種類の軟骨と、それらに付着する筋肉・粘膜で構成されています。喉頭にある軟骨は次の通りです。
- 喉蓋軟骨
- 甲状軟骨
- 輪状軟骨
- 披裂軟骨1左右に1つずつあります
- 小角軟骨
- 楔状軟骨
赤字の3つは、発声に関連する筋肉が多く付着している軟骨で、筋肉の名称にも使われます。
喉頭にある筋肉の役割
喉頭の構造を一通り見たところで、声が出るプロセスを今一度おさらいしたいと思います。
- 肺からの息が気管を通って喉頭に達する
- 息が声帯筋にあたり、声帯筋が振動する
- 声帯筋の振動によって生まれた喉頭原音が口に向かう
- 口に向かっている喉頭原音が、共鳴腔により増幅する
- 声となって外に出る
ギターやバイオリンに例えると、声帯筋が弦に該当し、共鳴腔がボディに該当します。
喉頭内外にある筋肉たちは、弦(声帯筋)の長さや密度などを調整したり、ボディ(共鳴腔)の形を変化させたりします。
つまり、音程を取る、高い声を出す、大きな声を出す、滑舌をよくするには、喉頭内外にある筋肉が適した動きをすれば良いのです。
よって、声帯に関連する各筋肉の役割や機能を充実させる訓練(=ボイトレ)が重要となるのです。
内喉頭筋群
先ほど喉頭内外の筋肉が発声に関与すると記しました。喉頭の内部にある筋肉たちを内喉頭筋群、外部にある筋肉たちを外喉頭筋群といいます。
まずは、内喉頭筋群を見ていきましょう。
- 内甲状披裂筋
- 外甲状披裂筋
- 後輪状披裂筋
- 外側輪状披裂筋
- 披裂間筋
- 輪状甲状筋
内甲状披裂筋は、甲状軟骨と披裂軟骨を繋いでいる筋肉で、またの名を声帯筋といいます。
そして輪状甲状筋は、輪状軟骨と甲状軟骨を繋いでいる筋肉で、声を学ぶうえで非常に重要な役割を担います。
内喉頭筋群は、いわば弦のような役割です。声帯筋を閉じたり開いたり、薄く引き伸ばしたりすることで声の元の音(喉頭原音)の声色を決めます。
外喉頭筋群
続いて、外喉頭筋群です。
- 甲状舌骨筋
- 茎突咽頭筋
- 口蓋咽頭筋
- 胸骨甲状筋
- 輪状咽頭筋
外喉頭筋群のことを喉頭懸垂機構ともいいます。声帯筋だけでは表現できない声を、間接的にサポートします。
内喉頭筋群が主に弦のような役割があったのに対して、外喉頭筋群は共鳴腔の調整の役割を多く担います。
こちらの動画で詳しく解説しています。
喉頭の役割、そして構造など、お分かりいただけましたでしょうか。
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