声帯の粘膜層の構造
声の仕事をするうえで、声帯周りの構造や機能を知っておくといいことがあります。
- 声に関する理解が深まる
- 的確な訓練を考え実行できる
- 喉・声のケアを効果的に行える
今回は、浅層(せんそう)・中層・深層からなる声帯の粘膜層についてお伝えします。

声帯のある喉頭の構造と機能
声帯のある喉頭およびその周辺にある軟骨・筋肉の位置、声を出すときの役割、喉頭の内外の構造などについてご紹介しています。
声帯の粘膜層の位置
声帯は、粘膜固有層と呼ばれる浅層・中層・深層の構造になっています。
最も深い部分が声帯筋、声帯筋の周りをコーティングする声帯靭帯が深層〜中層部分に位置します。
そして、これらを包括するのが粘膜層です。

声帯靭帯のさらに外側、直接接触する振動体を含めて、粘膜層と定義しています。
声帯の粘膜層の構造
粘膜層は、外側から順番に次のように構成されています。
- 粘膜上皮
- 粘膜固有層(粘膜下組織)
- 声帯筋
粘膜固有層は3層(浅層・中層・深層)に分けられます。分けて考えているというのが正しい解釈で、各層の境目に境界線があるわけではなく、シームレスな構造になっています。あくまで便宜上、浅層、中層、深層と分けているだけと思ってください。
粘膜固有層の構成
浅層
ラインケ腔(くう)と呼ばれます。
ヒアルロン酸を多く含んでおり、やわらかさとしなやかさを兼ね備えています。
中層
筋肉の性質(縮むと元に戻る)のうち、元の構造に戻ろうとする弾性繊維が多く存在します。声帯靭帯のある層です。
深層
コラーゲンを多く含みます。浅層に比べて硬く、立体構造を保つ役割があります。
粘膜層の機能
粘膜層の役割
声帯の粘膜層は、1対の声帯筋が接触・振動する際の本体、すなわち振動体になります。この粘膜層の形状や質によって、声の大きさ・高さ・声質などが決まります。
楽器でも、弦の質で音が大きく変化します。
たとえばバイオリン。大きくは、スチール弦、ナイロン弦、ガット弦に分類されています。
スチール弦は硬い音で長持ち、ガット弦は柔らかい音だけど寿命短めといった特徴があります。
粘膜層のケア
この粘膜層ですが、水分や血液が十分に行き渡っている状態が、良いコンディションであると言えます。
コンディションの悪い状態とは、水分・血液不足、もしくはそれらのバランスの悪さが挙げられます。
コンディションを悪くする行為として挙げられるのが、飲酒や喫煙です。喫煙等でボロボロの状態だと、ボロボロのコンディションのような弦で演奏するのと同じと言っても過言ではありません。
喫煙によるリスクとして、声帯のポリープがあります。浅層にあるラインケ腔に液体が貯留することによって、声帯全体にむくみが生じることによって発生します。
むくみのことを浮腫(ふしゅ)といいますが、浮腫のある声帯は歪な形の楽器のようになり、きれいに振動しません。
その結果、嗄声(させい)と呼ばれる声が嗄れたような、ハスキーな声になります。
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