喫煙と声の関係
喫煙による悪影響は、多くの病気や健康問題を引き起こすとされ、百害あって一利なしと言われます。
喫煙によって引き起こされるとされる障害例は次のとおりです。
- がん
- 心臓病
- 肺疾患
- 中風
- 歯周病
- 味覚/嗅覚障害 など
声においても、飲酒は一部良い効果もありますが、喫煙に関しては、残念ながら良いことはありません。声の仕事をする人は、仕事のパフォーマンスを(基本的には)下げるだけなので、できる限りタバコは吸わない方が望ましいとは思います。
今回はタバコと声帯の関係についてお話ししたいと思います。
動画でも解説しています。
喫煙の作用
血行障害
喫煙には血管を収縮させるはたらきがあります。血液が行き届きにくくなると、酸素が行き届かなくなり、運動能力が落ちることになります。
声帯は、声帯筋やその周りの筋肉による運動ですので、禁煙の影響を受け、パフォーマンスは低下します。
具体的には、活性酸素が発生し、粘膜層深層のコラーゲンの組織づくりに悪影響を及ぼし、振動に影響を及ぼします。ざっくり言うと、
声帯近辺の筋肉の細胞をボロボロにして振動に悪い影響を及ぼすということです。
そして、これはあまり認識されていないかもしれませんが、酒やけの原因は、アルコールの摂取ではなく、喫煙による血行障害です。
声帯に関連する筋肉の変形
喫煙は低温やけどを引き起こします。それにより、粘膜層のラインケ腔にむくみが生じます。慢性化すると、浮腫(ふしゅ)となり、ポリープに発展します。変形によって声帯がきれいに振動しなくなり、表現に様々な不具合が発生することになります。
声帯の粘膜層の形状は、弦楽器の弦に相当します。喫煙による粘膜層の変形は、弦を傷める行為と同じかもしれません。
離脱症状の錯覚
ニコチンは脳内報酬系(欲求が満たされたり見込みがある場合に活性化し快感をもたらす神経系)に影響を及ぼし、ドーパミン(満足感や幸福感を感じる快楽物質)を過剰に放出する働きがあります。
喫煙が習慣になると、ドーパミンの過剰反応に慣れてしまい、ニコチンに依存する状態になってしまいます。
ニコチンの効果が切れると、イライラしたり集中力が低下したり落ち込んだりしやすくなり、離脱症状に陥ります。
喫煙で離脱症状は一時的には和らぎます。しかし元々吸わなければ離脱症状に悩むことはありません。
喫煙への対策
正直なところ、吸わないに越したことはありませんが、急にニコチン依存をやめる恐ろしさもあるので、徐々にやめていけると良いと思います。
僕が今まで禁煙希望者に助言している禁煙方法について、いくつかご紹介します。
- 禁煙する方法を自分自身に問いかける
- おそらく、人生最低20年生きてきた中で、禁煙する方法はいくつか聞いてきた、もしくは禁煙に繋がる入り口は知っていることかと思います。
それを自分の潜在意識に問いかけてみてください。ふとしたときに、その答えが返ってきます。 - 喫煙以上の快楽を作る
- 喫煙をしている以上、得ることができない体験を、喫煙以上の喜びにしてみるのはどうでしょうか。
かわいい娘に「パパ、タバコ臭いから嫌!近寄らないで!」…さて、どっちをとりますか?(笑) - 喫煙に成功するストラテジーを崩す
- 禁煙に失敗するということは、喫煙に成功する方程式に則っているとも言えます。その成功方程式をきっちり分析し、その一部を崩すことで、方程式が成立せず、喫煙に失敗することが可能になる場合があります。
声帯のケアについてさらに詳しく知る
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