コンディショニングとは
声の仕事をしている人にお伺いします。
よりパフォーマンスを向上させる方法、そしてより長く状態維持を行って生涯仕事をできる方法ってお持ちでしょうか?
僕は、この執筆時、声のプレイヤーとして10年、声の指導者として10年の合わせて20年のキャリアがあります。そして、パーソナルトレーナー系の就労も経験があるのですが、その経験があったからこそ、声の業界の仕組みに大きな疑問を抱くことになりました。それは、
専門家によるアプローチの役割分担が雑で、プレイヤーに最適な環境が整っていないということです。
今回ご紹介するのは、発声コンディショニング®︎1令和4年12月に商標を取得。という考え方の概要ですが、これを実践することで、仕事に取り組める環境を大きく向上させることが可能だと考えています。
ぜひ最後までご覧ください。
- 声の仕事を長く続けていく予定の人
- 効率良く訓練し成長を望む人
- これから声の勉強を始めようとしている人
こちらの動画で詳しく解説しています。
コンディショニングの語源
コンディショニングという言葉をご存知でしょうか?
近い言葉ですと、コンディションであれば、日常でも使う機会はあるのではないでしょうか。
今日は試合だけど、コンディションがいまいちだなぁ
→この場合は、調子という意味です。
今日の試合会場、芝生のコンディションが良くないなぁ
→この場合は、状態という意味です。
コンディショニングとは、調子や状態の-ing形なので、イメージ的に調子や状態を整えているという意味合いになります。
スポーツにおけるコンディショニング
もともとコンディショニングとは、スポーツ業界の言葉です。
アスリートが最大のパフォーマンスを発揮・維持するための仕組みをいいます。
スポーツ業界で行われているコンディショニングとして、プロ野球を例にしてみたいと思います。
選手は高いパフォーマンスを発揮できる状態を作り出し、それを維持していく必要があります。そのために、選手の状態に最も専門的にアプローチできる専門家やスタッフが、各々の専門アプローチを行います。
- 野球の技術を向上させたい→コーチ
- 肉体改造を行いたい→トレーナー
- 試合後の体のケアをしたい→トレーナー
- ケガを治療したい→ドクター
コーチは、現役を引退した選手が、投手コーチ、打撃コーチという役割で、選手への技術的指導や助言を行います。
トレーナーは体づくりと体のケアの2種類に分類されます。ジムのトレーナーのように、筋トレを指導する体づくりの専門家、柔道整復師のように、試合後の体を整える体のケアの専門家です。
ドクターは、けがの診断や医療行為を行う医者、リハビリを行う理学療法士といった方々で構成されます。
コンディショニングの意義
コンディショニングの素晴らしいところは、選手の状態に合わせて、専門家による適切な処置を行えるという点です。
より速い球を投げれるようになるために、下半身強化を体づくりのトレーナーから指導を受け、投げる技術をコーチから教わる。もしもケガをしても、主治医に診てもらえる。
選手から見れば、自分1人に対し、専門家が何人もいるという贅沢な環境といえるかもしれません。
反対に、ベストコンディションを作り上げるには、分けざるを得ないということです。
例えば、コーチは元々選手ですので、トレーナーのように適切な筋トレメニューを組むのは難しいと思います。また医師免許を持っていないと医療行為もできません。
コンディショニングは、各専門家の深い専門技術が適材適所で機能することで、初めて実現する仕組みといえます。
発声コンディショニング
発声におけるコンディショニングの考え方
声は、声帯筋の振動で生まれ、内喉頭筋群や外喉頭筋群のサポートにより、様々な声の表現を実現します。
筋肉を使ってパフォーマンスをするという点で、スポーツと同じといえます。
よって、スポーツ業界と同じようにコンディショニングを導入することが可能です。
- 歌唱力を向上させたい→コーチ
- 読解表現力を向上させたい→コーチ
- 声そのもの(発声)を鍛えたい→トレーナー
- 声帯の治療を行いたい→ドクター
コーチは、現役の歌手、役者、アナウンサーの方々が、歌唱表現や読解表現など、各分野における表現力の向上を目的とした技術的指導や助言を行います。
トレーナーは野球の例と同様に、声づくりと声のケアの2種類に分類されます。ボイストレーナーのように、大きな声や高い声、音程、滑舌などを鍛えるための声の訓練をする人や、日常の声帯のケアを指導する人です。
ドクターは、声帯結節やポリープなどの疾患に対して、診断や手術を行うボイスクリニックの先生などが該当します。
発声業界の現状
声は、声帯筋とその周りの筋肉による運動で出ます。
声の大きさや高さ、音程などは筋肉の動作のあり方なので、専門家はトレーナーになると思います。
しかし、発声業界ではどうでしょうか。ボイストレーナーと名乗っている方の多くは、歌を上手に歌えるように指導したり、話し方を上手に話せるように指導したりするコーチがトレーナー分野の指導をおこなっているように思います。2訓練を英語に訳すとトレーニングという理由もあって、歌を鍛える/言葉を鍛えるための訓練をトレーニングと想像しがちですが、厳密にはトレーニングではなくコーチングに該当します。
つまり、表現力向上の技術を教えるのが専門のコーチが、大きな声・高い声・音程・滑舌などの発声(=トレーナーの範囲)を指導しているということになります。
だからでしょうか、声の悩みが解決されにくかったり、感覚的な説明(=曖昧な説明)が多いのです。そう、ほとんどの方が、厳密にいうと専門外なんです。
また、専門ではないから気づかない人が多いのですが、指導されている内容を見ると、19世紀に出始めた、現在では生理学、解剖学的にもめちゃくちゃな理論を教えてらっしゃいます。
結果として、養成機関で生徒さんの才能と機会を奪ってしまっている光景をよく目の当たりにしますし、「全然うまくできない」という相談者が跡を絶ちません。
発声コンディショニングの活用
さて、コンディショニングを取り入れるために、どんなことをすればいいのでしょうか。
スポーツでは、コンディショニングを行い続けることをコンディショニング・サイクルと呼んでいます。
発声業界においても、もちろんこのコンディショニング・サイクルを取り入れることができます。
次回は、コンディショニングの活用として、発声コンディショニング・サイクルについてお伝えしたいと思います。
コメント