論理階型
仕事において、同僚や新人に対して、「コイツ、マジで使えねえなぁ」なんて思ってしまったこと、ありませんでしょうか?
使えない理由は、ほとんどが「与えられた仕事や役割に対する成果が不十分だから」ではないかと思います。
僕も、今だからこそ言えますが、過去に思ったことはあります。
いえ、かなり思ってました、すみません(笑)
「それ、できるんでやりますよ!」と進言してくれた人に任せたら、成果が話にならなくて、結局仕事が増えることが1番多かったように思います。中には、顧客と喧嘩した上司の代わりに謝りに行ったこともあり、「問題起こしまくるし仕事も雑だし…なのに、なんで僕の給料の3倍以上ももらってんねん!」なんて思ったこともあります。
あくまで主観なので、他の人から見たら、僕がどうしようもない人である可能性も十分にあります(笑)
まぁ、これ以上はただただ不毛なだけなので、過去の自白はここまでにしたいと思います。
今回は、「仕事ができないから使えない」という人に対して、仕事ができる人に変わってしまう考え方について、そして応用すれば世の中のあらゆる問題にも対応でき解決に導けてしまうかもしれない考え方…名付けて論理階型の観点で考えることについてお話しします。
- 組織で部下を統括している人
- コンサルタントなど問題解決の仕事をしている人
- 会話が噛み合わなかったりズレたりすることの多い人
論理階型とは
まず、論理階型について解説したいと思います。執筆時には、ほんの少ししか検索に引っかからなかった言葉なので、知らない方も多いかと思います。
他の言葉で表現すると、属性やカテゴリーといった階層のようなもので、PCに保存してあるフォルダの概念と同じようなイメージです。
例えば、車という属性があったとします。
車を細分化すると、自動車、バイク、一輪車、手押し車などがあると思います…ん?手押し車?
自動車をさらに細分化すると、大きさ(軽・普通・トラックなど)、メーカーや車種、色…というふうに分けられますよね。
これらの要素のことを、チャンク(chunk)っていいます。
チャンクとは、かたまり、階層という意味で、上記の例ですと、車というチャンク、自動車というチャンク、車種というチャンクがあるといえます。
車→自動車→車種と進むにつれ、より具体的になっていると思いますが、細分化したり具体的にすることを、チャンクダウン、チャンクを下げるといいます。
反対に、車をより抽象的にすると、乗り物(車、飛行機、船)になります。
大きな枠にまとめたり抽象的にしたりすることを、チャンクアップ、チャンクを上げるといいます。
論理階型による影響
知覚や言葉における階層や経験のレベル=チャンクは、上にあるものによって、下にある情報が順序づけられたり制御されたりします。
上のチャンクに変更が加わると、必ず下のチャンクに変更が発生します。
例)どのレンタカーを借りて現地に行こうかな
→車での来場は控えてください
→じゃあ電車で行こう
=レンタカーという手段は削除される
反対に、下のチャンクに変更があっても、上のチャンクには必ずしも影響が及ぶとは限りません。
例)どのレンタカー借りて現地に行こうかな
→ただいまSUV車が全部レンタル中です
→じゃあセダンにしようかな
=レンタカーで行くことには変わりない。ただし、どうしてもSUVでなければならない場合はレンタカーの選択肢を止める場合もある
=必ずしも影響が及ぶとは限らないといえます
論理階型を活用した問題解決
事例 仕事ができない部下
さて、冒頭で例に出した、仕事ができない同僚や新人(話の例えとして、以後は部下とします)について、少し掘り下げてみたいと思います。
結論から言いますと、部下が仕事ができないのは、上司の可能性もあります。指導や監督の問題ではなく、論理階型上のズレによる認識によって、仕事ができない人と上司が勝手に定義していることに問題がありませんか?ということです。
チャンクダウンによる分析と成果
仕事ができないをチャンクダウンしてみましょう。可能性として、次のようなことが挙げられます。
- 上司の指示通りに仕事をしない
- 文章は書けるがPCに打ち込むのがほとんどできない
- 与えられている業務内容が苦手
- 精神的・身体的に不健康で仕事に着手できない
①は、指示を理解していない、指示の仕方が悪い、勤務態度が悪いなどが挙げられます。(部下の能力/上司の能力/部下の行動)
②は、道具が使えないという問題です。もしかしたら、紙なら早いかもしれませんね。
③は、能力適正の問題です。極端な例だと、海外から赴任して間もない方に日本語のプレゼン資料を作ってもらうーといったところでしょうか。
④は、能力があっても、物理的に仕事に取り組めない状況です。転んでケガをした自己責任の場合もあれば、上司のパラワラが原因の場合もあるかもしれません。
①〜④、どれも同じ「仕事ができない部下」になりますが、それぞれ原因が異なりますし、解決方法も異なります。
例えば②の場合。シニアスタッフは傾向として機械作業に疎い場合が多い反面、経験が豊富です。紙作業が早いのであれば、紙作業をお願いして、データ転写の得意なスタッフと共同で分担すれば、仕事のできる人になるかもしれません。
③は母国語での営業に向いているかもしれませんし、そもそも海外から来る留学生は、同国の同年代の人より優秀な場合が多いので、環境面に配慮さえすれば、国内の同年代の人より活躍することも十分にあり得ます。
チャンクのクラスが高い表現の影響力
また、上のチャンクにあるものほど、より(心理的に)広範囲に影響を及ぼす性質があるといわれています。
- Aさんがいると話が逸れやすくなり、会議がなかなか終わらない
- 女性がいると話が逸れやすくなり、会議がなかなか終わらない
メタモデルの解説記事でオリンピックの大会組織委員会の事例を出しました。後者の方が多くの人の心理に影響を及ぼすため、炎上へ至ったという解釈もできるかと思います。
会話の中で起こる、省略・歪曲・一般化。不足している言葉を補わずにそのまま受け取った結果、女性軽視発言問題に発展してしまった事例の1つです。
ここで考えたいのは、先述の①〜④などの原因で仕事ができない、よってあいつは使えないヤツ(最もチャンクのクラスの高い状態)と上司に言われるということが、どれほどの影響力を持つかです。
PC作業ができない部下と、使えない部下…後者の方が心理的な影響力・ダメージが大きいと感じます。
チャンクの高い表現を使う場合で、特に内容がマイナスなものについては細心の注意を払う必要があるように思います。
チャンクのコントロール
さて、先述の①〜④については、さらにチャンクダウンしていけば、問題の原因となる部分に必ずたどり着きます。
では、次の事例の場合、どうでしょうか?
事例 会社の経営で意見が食い違う場合
営業部上がりの取締役は、売上さえ上がれば会社の業績は上がるから、営業マンを増やしてとにかく売上を大きくしようと訴えます。
一方、経理部上がりの取締役は、売上が上がっても残るお金が少ない状況を懸念して、純利益を確保できる営業マンの育成に力を入れようと訴えます。
両者は自分の意見の方が正しいと主張し、一切引こうとしません。
社長であるあなたなら、どう判断を下しますか?
異なる意見に対して調整を行う場合です。
それぞれの取締役の意見を検証するために、チャンクダウンして事実確認を行うーこれも1つの方法としてありでしょう。
その場合、両方の意見を採用するか、どちらかの意見が淘汰されるか、両方の意見を妥協して取り入れるか、全く別の意見を採用するかーになるでしょう。
決して悪いわけではありませんが、片方の意見が採用された場合、もう片方の取締役は居心地が悪くなってしまうかもしれませんね。
チャンクアップによる同一化と承認
そこで試して欲しいのが、チャンクアップです。チャンクを上げることで解決する問題もあります。
今回の場合、営業売上を増やす施策と営業売上を残す施策と言えますが、これらをチャンクアップして、一緒になる所まで上げていきます。すると、営業利益を最大化させる改革とまとめることができます。
そして営業利益を最大化させる改革のチャンクをまたさらに上げると、会社の繁栄に行き着くかもしれません。すると、意見の対立していた2人は、「どちらも会社の繁栄のために尽力してくれているんだ」となります。
ではこれで具体策が決まるかはまた別の話です。大切なのは、どちらも会社の繁栄のために意見を出してくれたと、2人の取締役を一度承認するプロセスを踏んでいるということです。
承認プロセスのないまま、どちらの意見が正しいかを行うと、何らかの成否が発生してしまいます。しかし、一度承認するプロセスを行っているだけで、同じ成否を下す結果となっても、後味の残り方、また会社の繁栄のために貢献したことになるため、結果は同じでもその意味合いが全く別のものになります。
いかがでしたでしょうか?
論理階型の概念、チャンクの上げ下げをうまく行うことができれば、大方の問題は解決できるといっても過言ではありません。応用については勉強会や講座にて実施していますが、今回ご紹介した内容が身につくだけでも、全く異なる意味を持つ人生に変化するかもしれません。
ぜひチャレンジしてみてください。
チャンクを活用した問題解決の力を身に付けたい!という方には、NLPヒプノセラピー®︎の講座がおすすめです。ぜひご検討ください。
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