声の訓練をする中で、おそらく1度は思ったことがあるのではないでしょうか。
「地声と裏声のちがいってなに?」
地声は、喋り声、低い声、力強い声というイメージがあるかもしれません。
裏声は、高い声、弱い声、裏返った声というイメージでしょうか。
歌では裏声も使うイメージはあると思いますが、話すときには裏声は必要ない?と思われるかもしれませんが、実は地声も裏声も、声の仕事をする上でとても重要で、どちらも等しく訓練する必要があるのです。
今回は、地声と裏声の役割、判別、そして訓練する意味についてお伝えしたいと思います。
今回の記事は、こちらの動画でも解説しています。
地声と裏声のちがい
地声と裏声の定義
まず、生理・解剖学的見解から、地声と裏声は次のように定義されています。
地声とは、脳から下喉頭神経を通じて動かすことのできる発声関連の筋肉による働きの強い声です。イメージ的には男性のような力強い声を出すのに優れています。
一方の裏声は、脳から上喉頭神経を通じて動かすことのできる発声関連の筋肉による働きの強い声です。イメージ的には女性のような柔らかい声を出すのに優れています。
自分の地の声という意味合いの地声は、地声・裏声の地声とは無関係です。
自分の声が分からないという方は、もしそれがいろんな人から「君の声はこうじゃない?」など、たくさん言われて混乱しているなら1回全て忘れてOKです。
たくさん練習しすぎて分からない場合は、今の声が自分の最高の声で誇っていいと思います。
地声系の筋肉と裏声系の筋肉
地声は下喉頭神経、裏声は上喉頭神経と紹介しました。
発声に関連する筋肉は、内喉頭筋群と外喉頭筋群に分けて考えます。地声系に所属する筋肉、裏声系に所属する筋肉に分けられますが、実際に声を出して訓練するときは、そこまで深く意識する必要はないと考えています。
そして、地声のリーダーは声帯筋(内甲状披裂筋)、裏声のリーダーは輪状甲状筋です。これらが、地声・裏声を出す際、中心的な働きをします。
地声と裏声の機能
突然ですが、重量挙げをイメージしてみてください。
筋肉ムキムキのあの人たちは、見た目はとてもパワフルでですが、開脚すると胸までベタっとつく人も多いです。
野球でホームランを量産するパワーヒッターも、ファーストを守るときには驚くほど足を開脚するのもそうですね。
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これと同様で、地声は力強さに特化し、裏声は柔軟性に特化しているーそんな性質を持ち合わせています。一概にそうとは言い切れませんが、概ねそのイメージで問題ないと思います。
レジスターバランス
力強さと柔軟性、この2つはどちらかが欠けていても、理想の声の表現は得られません。
裏声のサポートなしに、五線譜の第五線のファ以上の声は出ないようになっていますし、裏声だけでは弱々しく美しく聴こえません。
地声と裏声、その2つのレジスターバランス、すなわちパワーアップすることが、ボイストレーニングの初期に行う最も重要な訓練の1つです。
バランスという言葉を使っていますが、目指すのはそれぞれ完全に機能を解放した100点の状態なので、とにかく鍛える!でOKです。
ミックスボイスとスカフォルディング
地声と裏声を鍛えたら、それぞれの機能を融合させる訓練(=ミックスボイス)を行います。
そして、ミックスボイスを含む訓練を行なっていくと、内喉頭筋群と外喉頭筋群が自由に使える状態(=スカフォルディング)になります。
これを私はボイトレの1つのゴールと位置付けています。
地声と裏声を融合させる訓練の際、融合させて分離させて確立させて…と何度も分離と融合を繰り返します。よって、なにが地声でなにが裏声かは、出している本人がしっかり把握することがとても重要だと考えています。
いかがでしたでしょうか。もっと詳しく聞いてみたい方には、発声診断書®︎のレッスンをおすすめします。
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