発声でおすすめの本
ボイスカルチャー®︎の加藤寛理です。
声の業界に携わり、20年が経過しました。
素晴らしい先生に恵まれたこと、勉強が好きだったこと、負けず嫌いだったこと、好奇心旺盛でいろんなことに挑戦してきたこと。
いろんな要素があって、20年以上続けることができているのかなと思い返します。
さて、生徒さんにたまーに聞かれるのですが、「ひろりさんは、どうやって声の勉強をしてきたのですか?」という質問についてです。
聞かれなければ話さなかったのですが、一部、公開しようかなと思うきっかけがありました。
昨今、chatGPTなどAIの躍進が目覚ましいですが、内容はあくまでWEBにある情報からが主流であるため、どうしても全体主義的になってしまう気がします。養成機関の近代メソッドによる指導は、身体機能や個性を破壊するものだと主張している僕にとって、指導者・WEBの情報に加えて、AIまで破壊活動をし始めると、とてもじゃないですが芸能の存続危機に瀕するのではないかという懸念があります。
残念ながら、現段階のAIでは、まだまだ僕のコンテンツが取って代わられることはありませんし、むしろさっさと取って代わってほしいとさえ思っているのですが、やはりきちんと考えることのできる人たちに引き継いで行きたいと考えるようになりました。
いくつかの分野をある程度修めたうえで、それらを組み合わせているので、全てをお伝えするのは難しいのですが、多くの書物や検証を行ってきた中で、この本は素晴らしかった!というものについて、その一部を紹介したいと思います。
- フレデリック・フースラー「うたうこと」
- 武田梵声「ボーカリストのためのフースラーメソード」
- セオドア・ダイモン「発声ビジュアルガイド」
こちらの動画で詳しく解説しています。
基本中のきほん!
フレデリック・フースラー「うたうこと」
著書名 |
うたうこと(原題:Singen) |
---|---|
著者名 |
フレデリック・フースラー |
発売日 |
1967年(原本)/1987年(翻訳) |
出版社 |
音楽之友社 |
サイズ |
A4 182ページ |
価格 |
6,000円(+税) |
所要時間 |
1ヶ月以上は覚悟 |
難易度 |
5.0+(とても難しい) |
フースラーのうたうことが聖典と呼ばれる理由は、生理・解剖学的に正しいかどうかを検証した点です。
この本が発刊されるまでは、近代メソッドによる教育が主流でした。
そんな中、まるで真逆とも言えますが、器官や筋肉の動きがどうあれば自然であるかを科学的に証明するというスタンスをとったのがこの本です。間違いだらけな発声教育を見事なまでにひっくり返す出来栄えから、聖典という位置付けを獲得したと思います。
なんと言っても、最大の功績は、喉頭懸垂機構の発見です。
その後の研究で、一部間違いだったところが発見されました(声帯の自発振動)が、概ね正しい理論が載っています。
デメリットは、内容が難しいところ。最初の1ページを理解しながら熟読しようとすると、30分かかってもおかしくありません。
また、多くのボイストレーナーが読みつつも、フースラーが書いたことと逆のことを指導してしまうことも多々あり、基本中の基本ではありますが、何度も読んで正しく理解できるようになることが重要かと思います。
現在ほとんどの養成機関で教えられている近代メソッドについて、理論が生まれた歴史を中心にご紹介しています。
うたうことをさらに発展させた
武田梵声「ボーカリストのためのフースラーメソード」
著書名 |
ボーカリストのためのフースラーメソード |
---|---|
著者名 |
武田 梵声 |
発売日 |
2012年 |
出版社 |
リットーミュージック |
サイズ |
A5 160ページ |
価格 |
1,900円(+税) |
所要時間 |
1週間程度 |
難易度 |
4.5(やや難しい) |
ボイストレーナーで間違ってしまうほど難しいのなら、もっと簡単にした本はないの?となりますよね。
そんな人には、フースラーの研究の流れを汲み取りながら発展させて来られた第一人者とも言える武田梵声先生の書籍がおすすめです。
何冊か出されている中で、理論をしっかり学ぶのであれば「ボーカリストのためのフースラーメソード」がおすすめです。
ただし、絶版になっていますので、代替としてはフースラーメソード入門がいいと思います。こちらは、より分かりやすくなっています。
著書名 |
フースラーメソード入門 |
---|---|
著者名 |
武田 梵声 |
発売日 |
2017年 |
出版社 |
日本実業出版社 |
サイズ |
A5 224ページ |
価格 |
1,800円(+税) |
所要時間 |
1週間程度 |
難易度 |
3.5(比較的読みやすい) |
声帯近辺の構造が分かりやすい!
セオドア・ダイモン「発声ビジュアルガイド」
著書名 |
発声ビジュアルガイド |
---|---|
著者名 |
セオドア・ダイモン |
発売日 |
2020年 |
出版社 |
音楽之友社 |
サイズ |
A4 95ページ |
価格 |
2,500円(+税) |
所要時間 |
1週間程度 |
難易度 |
3.5(絵は易しい、文は難しい) |
2020年に発刊された、発声器官の図解がなされている本です。これまで、構造がどうなっているの説明をするのは、あまり綺麗でないイラストか、何十万もする模型か、最近はヒューマン・アナトミー・アトラスなどのアプリという方法もありましたが、この本は、綺麗なイラストに加え、各部位の作用まで書かれているのが特徴です。
この本だけを読んでもあまり意味はありませんが、うたうことやフースラーメソードで理論をある程度理解したうえでこの本を読むと、イメージがより鮮明になると思います。先述2冊の参考書として、おすすめします。
加藤寛理はいつ出すねん!
いかがでしたでしょうか。
僕も執筆行為自体は2017年頃からしていますが、何度も書き直しをしつつ、心理の面を混ぜようと考えていますので、もう少し時間がかかりそうです。
声に限って言えば、ひとまず上記3冊を理解し修得すれば、既存の先生方よりも上のレベルに行けてしまうと思います、ハイ。
ぜひ手に取って、勉強してみてください。
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